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【文豪ストレイドッグス】私と兄

第3章 身近



昨日と同じで、また早く探偵社に向かう。

探偵社に着いて心を落ち着かせたいのか、歩くスピードが速くなる。

はあ....とため息をつく回数が増えていく。

コツコツと歩いていると、後ろからもコツコツと足音が聞こえる。

あれ、と一瞬立ち止まって考えた。

まさか自分の後を着く人なんて居ないだろうと、気にせず歩き始めた。

歩き進んでいると、「ちゃん」と自分の名前を呼ぶ声がした。

声がした後ろの方を振り返って見ると、そこには太宰の姿があった。

『ああ……太宰さん…』

相手が太宰だったことには少し安心した。

「おはよう、奇遇だね」

にこやかな表情で言うが、奇遇だと言えるのか怪しかった。

「今日も早いんだね」

『太宰さんこそ…』

「一緒に心中してくれる美女を探しているのさ」

へぇー…と興味なさそうにするは踵を返してまた歩き始めようとすると、太宰に止められた。

「ちょっと待ちたまえ」

一緒に心中しよう、ときっと言うんだろうと思っていると、太宰は胸ポケットから何かを出した。

「これ、お詫びの印に」

そう言ってに渡す。

昨日の事をいっているのだろう。

『えっ…』

貰っていいのか困惑する。

受け取ったままでいると、太宰は「開けてみたまえ」と言って微笑んだ。

『かわいい…』

高そうなプレゼント箱から取り出すと、中にはブレスレットが入っていた。

「気に入って貰えたかい?」

太宰の言葉にはコクリと頷く。

「年頃の女の子だし口紅もいいかなと思ったんだけれど、こっちの方がいいかなって」

『でも、こんな高いもの…』

桃色のビーズや宝石とハート型をしているパーツがある。

「大丈夫さ、気にせず受け取っておくれ」

その言葉では受け取ることにした。

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