第10章 甘い毒は誰のために❥徳川家康
(なんか、可愛い...。)
私がそんな家康に見惚れていると。
政宗がひゅ〜っと口笛を吹いた。
「俺はもう用無しみたいだな。華。ちゃんと休めよ?」
「政宗...!ありがとう!」
政宗に感謝をして政宗が部屋から出ていったのを見届けると。
「...ほんとに、ごめん。」
(え..)
家康が私に謝った。
「あんたに、そんな迷惑かけたなんて...庇った意味が無かったも同然だよ。」
家康が悔しそうに言う。
(っ、違う。)
「家康、それは違うよ。」
私は家康の声を遮るように言った。
「私が家康のおかげで助けられたのも事実だし、家康がいないと死んでたかもしれないんだよ。だから家康が謝る必要なんて、ない。」
私がそう言い切ると。
「...ふっ、そうだね。あんたはそういう人だったの忘れてた。」
(え?)
「...でも、あんたに迷惑をかけたのは事実だから謝る。」
「っでもっ...」
私が言いかけたのを止めるように家康は言葉を紡いだ。
「だからさ..俺がよくなるまで、あんたがそばにいてよ。」
それは、毒に侵された家康じゃない。
本物の家康の甘えだ。
それに嬉しくなった私は
「うんっ!!」
と頷いた。
あのあと、
毒が抜けた家康に気をやるほど愛されたのは、また別の話。