第7章 変身!ちぇんじまじっく!❥徳川家康
襖を開けたのは恋仲の家康だった。
「あれ、いない。」
そう呟くと家康は襖を閉めようとした。
それを私は必死で止めた。
「きぃきぃきぃ!!!」
(家康!私だよ!華だよ!)
その声が届くはずもなく。
「え、リス?」
家康は私を拾い上げると声をかけた。
「何、迷子になったの?」
その声には優しさが詰まっている。
(やっぱり優しいなぁ。)
(...じゃなくて!)
なんとか家康に伝えなければ。
「きぃきぃきぃ!きぃ!」
そんなのが伝わるかといえば伝わる筈も無く
「ねぇ、華知らない?」
家康が私に話しかける。
でも伝わらないだろうと思った私は必死に身振り手振りをして、私は大丈夫だと伝えようとした。
両手で大きな丸を作りながら。
そんなわたしを家康は見つめていたが、急にあぁ、と呟くと、
「華は大丈夫だって、そう伝えたいの?」
(なんで伝わったの!?)
そう思いながらも必死に顔を縦に振る。
「そんな必死に伝えて...可愛いね、あんた。」
(!)
動物に対してでも可愛いと言われたことに固まると...
「え、あんた人間の言葉分かってるよね、 ?」
(あ!どうしよう!)
焦った私は首を横に振った。
「ははっ、そうやって顔を横に振ったら分かってるって事でしょ」
そう言って家康が笑った。