第6章 変身!ちぇんじまじっく!❥共通
ある日の昼下がり。私は新しい反物を見るために城下に出ていた。
(なにかいい反物無いかなぁ。)
そう思って城下を歩いている時だった。
「そこのお嬢ちゃん。」
「!」
突然話しかけられた。
振り返るとおばあさんが立っていた。
どうしたんだろう、
「どうしたんですか?」
「お嬢ちゃんは余程優しい心の持ち主なのだろう。」
「こいつがお嬢ちゃんを選んだ。」
そう言って差し出されたのはピンク色の小瓶に入った液体だった。
「お嬢ちゃん、これを飲んでご覧。きっとお嬢ちゃんの大切な人の心の中が見えてくるよ。」
(どういうこと?)
不思議には思ったが、最近恋仲の人と喧嘩をしてしまい、どちらもぎくしゃくした時だったのだ。
(これを飲んだら、心の中が見えるのか。)
「あの、これって...」
そう言って顔を上げた時には、もうおばあさんはいなくなっていた。
(いつの間に...)
でも、せっかく貰ったものだ。試してみるのも良いかもしれない。
そんな軽い気持ちで私はその小瓶の中を飲みほした。