第5章 方程式のつくりかた❥明智光秀
光秀さんは私の事を捨ててなんかいなかった。
どれもこれも私を思ってした行動だったのだ。
それは分かったが、私が光秀さんに相応しくないという香夜さんの声が頭にこびりついて離れない。
「どうした?まだ不安な事があるのか?言ってみろ。」
光秀さんが私の顔をのぞきこんで言う。
私は少しためらったが結局言うことにした。
「私と、光秀さんが相応しくないって、思って...」
それを聞いた光秀さんがふっと笑った。
「なんだ、そんな事で悩んでいたのか。」
(っ、そんな事って...)
これでも私は真面目だ。
そう思っていると、光秀さんが口を開いた。
「なぁ、華。算学って分かるか?」
「算学?」
数学や算数のことだろうか。
「はい、分かりますけど...」
「100✕0はなんだ?」
「0、ですか?」
「ああ、そうだ俺達はそういう関係だ。」
(え?)
そう言われても理解できない。