第49章 スタートライン!❥伊達政宗
もう二ヶ月以上も会っていない。
これまではコンテストが終わってからも後片付けでばたばたしていたけど、帰り道になるとすごく、寂しくなる。
ふと前を見ると、もう安土城が目の前に見えるくらいまで帰ってきていた。
そして、誰か、こちらに向かって、駆けてきている人が.....
(っ、まさ、むねっ...?)
思わず大きく目を見開く。
こちらに必死に駆けて来ているのは、誰でもない、私の、
だいすきな人。
「華!!!!」
だいすきな人の大きな声がどんどんこちらに近づいてくる。
「っ、政宗!!!!」
私も負けじと大きな声を張り上げて、重かった荷物なんて忘れたかのように走り出す。
そして。
「華...!!」
「まさ、むねっ、!」
二人の体がようやくくっついた。
ぎゅうっと抱きしめられるその腕の力強さに、私も荷物を下に置いて思いを返すように抱きしめ返す。
すると小さな声で、そっと呟かれた。
「...待ってた。」
「....ふふ、わたしも。」
まるで子供のような大切な人の姿に思わず笑みが溢れる。
「...その様子だと上手くいったみたいだな。」
「...うん、おかげさまで。」
「...俺の言ったとおりになっただろ?」
「...うん。」
「...お前なら、華なら、なんでもできるって証明できただろ?」
「っ、うん」
あぁだめだ。
涙が、溢れちゃいそうだ。
すると身体をゆっくりと離した政宗が、私の顔を見ていつもの顔で笑った。
「涙もろいところは変わってねぇんだな。」
「..っ、ごめんね」
そう言うと政宗はそっと私の目頭を拭った。
「馬鹿。お前はそれでいいんだよ。」
(っ...)
私はやっぱり、この人じゃないと、だめみたいだ。
今回のことも、これから起こる辛いことも、ぜんぶぜんぶ終わりじゃなくてスタートとして変えていく。
そんな素敵なことができるひとは、やっぱり、私の恋人しかいないんだと実感した。
そしてそんな人とこれからもずっとそばにいられることも。
そんな嬉しさを隠すように、私はそっと政宗の胸に顔を埋めた。
終。