第49章 スタートライン!❥伊達政宗
(あぁ....どうしたらいいんだろう)
温かい春も過ぎて、太陽がさんさんと私達を照らし始めたそんなある日。
私はひとり部屋で頭を抱えていた。
(どうしたらいいんだろうどうしたらいいんだろう)
先程から頭の中にあるのはそんな言葉ばかり。
目の前にある反物を見つめてただただ、はぁ、とため息を零した。
本当はこの目の前にある反物は、私を喜ばせるものであるはずなのに。
事の発端は、昨日のことだった。
ここにタイムスリップしてきて、幸いにも大好きな人と恋仲になれて、大好きな仕事をして。
すごくすごく充実している日々の中に、さらに嬉しいことが舞い降りてきたのだ。
それはちょうど、私がその日の針子の仕事を終えて、片付けをしているときだった。
『華!誰かお客さんが来てるよ!』
『え、こんな時間に?』
もう今日の仕事はすべて終わらせて、届け物もし終わったのに。
と、思いながらも腰を上げる。
針子部屋から出たところにいたのは....ひとりの、男の人だった。
(わぁ、優しそうな方だな....)
最初に思った第一印象がそれだった。
しかもすごく気品が溢れていて、まさに現代でいうジェントルマンのような優雅さがある。
(本当に素敵な人だな....)
きちんと着た着物にシワひとつない。
そう思ってじっとその人を見つめていると...
「あの、どうかしましたか?」
「あっ!ごめんなさいっ!」
優しい声で問いかけられ、そこで思わず我にかえった。
即座に謝った私を見てその人はひとつ頷くと、にこっと笑った。
「やはり、貴方に来てもらうべきですね。華様。ぜひ私と一緒に、大阪へ来ませんか?」
「....えっ?」
いきなりの発言に戸惑いで体が身動ぐ。
そんな私を見たその人はひとつ咳払いをして話しだした。
「すみません、申し遅れましたね。私の名は関原 長次郎 といいます。大阪で反物屋を営んでいます。」
「あ、反物屋の方ですか....そんな方がどうして私に....?」
そう不思議に思って聞くと....