第48章 縮まらない温度。❥真田幸村
何が起こったのか分からずぐるぐると考え込んでいると...
何も反応がない私を不思議に思ったのか、幸村さんがぎゅっとしていた腕を解いて私の顔を覗き込んできた。
そして私がぽかーんとした顔をしているのが分かったのか、いきなりみょーんと頬を伸ばしてきた。
「!?」
「なに変な顔してんだよ?」
(っ、いやいやそれは幸村さんのせいだから....っ)
そう思っても口に出せずにじーーーっと幸村さんを見つめると...
「っ....」
「!?」
今度は幸村さんが顔を赤くしてそっぽを向いた。
(っ、なにそれ反則...!!)
そんな反応されたらこちらも何も言えなくなってしまう。
それでもなんとか絞り出すように声を上げようとする....
その前に、幸村さんが声を出した。
「....そ、そういうことだから。」
「....は、」
いきなりそういうことだからと言われてわけがわからずに頭を傾げると同時に変な声が出てしまった。
そんな私を見かねたのかはぁ、と幸村さんはひとつため息をつくと真っ赤になっている顔を私に向けてきた。
「っ、」
その顔に私の頬まで体温が上がっていくのが自分でもわかる。
すると幸村さんはその赤い顔の口角をすっとあげて。
「俺が好きなのは、雪でも、他の誰かでもない、華だってことだ。」
「っっ...!!!!」
その言葉は私の心を撃ち抜くのに容易だった。
ずっとずっとずっと前から求めていた言葉に体の芯が熱く燃えていく感覚で埋め尽くされる。
私も何か言わないと、と口を開けるもののぱくぱくと言葉にならずにただ幸村さんを見つめているだけになった。
それでも幸村さんは察したのかもう一度ぎゅっと私を抱きしめて、耳元で呟く。
「お前が何を気にしてるのか、分かったかも。」
「え、」
その言葉に固まる。すると幸村さんは体を離して少しバツの悪そうな顔をして話した。