第47章 愛してください2❥徳川家康
どこかで結ばれたという、教師と生徒は。
どんな想いだったのだろうか。
禁断の関係で。
結ばれない二人と分かっていても。
貫き通すその想い。
その気持ちは、こんなものだったのだろうか。
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時は流れて、5年後。
定時にぴったり上がった俺は学校から家への道を必死で走っていた。
・ ・
(急がないとっ...あれは本当なのかっ...?)
鞄の中でペンやらなんやらが揺れている音も無視して走って走って走って。
ようやく家の前につく。
ばんっと大きな音を立てて家の中に入って、リビングに行くと...
「もーう、そんなに慌てて大丈夫ですか?先生!」
「っ..はぁ、はぁ...ったく... 華。その呼び方やめてって言ったでしょ。」
「えへへ、まだ癖が抜けなくて家康ってちゃんと呼べるように....って、え!?」
俺は華の言葉を言い切らせる前にすごい勢いで華のそばに近寄る。
「ねぇ、華....あれは本当なの?」
真剣な顔で聞くと、華は今度は花のような笑顔で笑った。
「うん。本当だよ。家康パパ、だね?」
(っ....)
パパ。
その響きに思わず涙が溢れそうになって下を向く。
すると気持ちを察してくれたのか華がぽんぽんと背中を叩いた。
そう、まるであの日のように。
あぁ。幸せとは、こういうことを言うのかと。
そしてずっと前に聞いた結ばれた教師と生徒の話。
それさえも今の自分にはその教師の気持ちがはっきりと分かる気がする。
大好きで大好きでたまらない人だったら、生徒でも何でも関係ない。
貫き通した後には、こんな幸福が待っているのだと。
「...家康。大好きだよ。この子も、大切に育てようね。」
そう言ってそっと自身のお腹を撫でる華に俺はそっと優しく抱きしめた。
いつまでも、この幸せが。
この幸福が。続くことを願って。
終。