第46章 愛してください❥織田信長
「っ....」
だけどいざ口にすると尋常じゃないほど心臓がばくばくと音を立てている。
しかも、織田先生は何も声をかけない。
その変な空気に更に呑まれそうになり、意を決して前を向くと...
「え...っ」
見たこともないほど、顔を赤く染めた織田先生の姿があった。
手を口に当てて、真っ赤な顔を隠すように私を凝視している。
「あ、の...っ」
私はその顔に驚いて思わず声をかけると、織田先生はいきなりぱっと私を抱きしめていた手を解いた。
そして部屋の扉へとずかずかと向かおうとする。
「!?!?」
行動がいきなりすぎてついていけない私は思わず織田先生の手を引っ張った。
それに....まだ織田先生から好き、という言葉を聞けていない。
それでも顔を隠すようにずるずると私を引っ張りながらドアに近づく織田先生にまたもや勇気を振り絞る。
「あの、まだ織田先生から、好きって、言われてないです...」
「!!」
その言葉を聞いた途端、織田先生の体がぴたっと止まった。
そしてゆっくりと私を振り返る。
その顔は依然として赤いままだ。
でもひとつ違うのは今度は私に向かってずんずん近づいてくるところ。
「!?」
顔と顔が触れそうなくらいまで近づいたとき....
ちゅっ
「!!?!?」
「これが精一杯の貴様への想いだ。今はこれで我慢しろ。」
そう言うと今度こそすたすたと歩いていく織田先生。
でもその耳はタコのように真っ赤に染まっていた。
そこで私は瞬時に悟る。
(あ、織田先生は意外と照れ屋さんなんだな、)
それが分かると私は心の中がほわっと暖かく染まった気がして無意識に笑みを浮かべながら恥ずかしそうな大好きな人の背中を追う。
そしてこれから起こる毎日に胸を躍らせた。
(今は無理でも....きっといつか。)
いつの日か、大好きな人の口から愛の言葉を聞くために。
終。