第46章 愛してください❥織田信長
(うわぁ...今日もかっこいいなぁ...)
私は朝、職員室の扉の前でひとりの先生の様子をうかがっていた。
その人の名前は、織田信長。
まさかのあの偉人の織田信長と同じ名前。
しかも織田信長という名前が世界一似合うようなルックスと威厳さを持ち合わせている。
織田先生、というより織田様?信長様?という名前が似合う人だ。
そして何より....私の好きな人だ。
入学式で一目惚れしてからもう一年。
そんな人を私は今日もいつものように覗いていた。
いつも授業をするときは眼鏡はかけないものの、職員室でパソコンに向かうときだけ、眼鏡をしている。
そのギャップに何回もやられる日々が続いていた。
そうして必死に職員室を覗いていると....
「お、おい華....?」
「!!」
職員室の扉から出てきた先生に不意に名前を呼ばれた。
「っあ....秀吉さん...」
そこから出てきたのは豊臣先生、ならぬ秀吉さんだ。
目をぱちくりさせて私を見つめている。
秀吉さんは皆からの支持が高くて人気者のため、みんな下の名前で呼んでいる。
そしてこの学校の先生たちは親しみやすさを求めるために生徒全員を下の名前で呼ぶのだ。
「お前...また信長様を見てたのか?」
呆れながら言う秀吉さん。
なぜか秀吉さんだけ、織田先生のことを信長様、と呼ぶ。
なぜそう呼ぶのかは誰にも分からないが....きっとリスペクトしているのだろうということだけは私にも分かることだった。
「う、うん、まぁ....」
私は苦笑いを浮かべて秀吉さんに応える。
秀吉さんも呆れるように笑った。
「お前はほんとに信長様のことがす.....」
「わぁぁぁぁあ!!!!」
私はその先を言われることを予想して秀吉さんの声を大声でかき消す。
その声に秀吉さんも驚いた。
「もう!それは皆の前で言ったらだめでしょ!?」
何故か秀吉さんにばれているこの気持ちをみんなにもばらすところだった。
「いや、そんなことよりお前もうめちゃくちゃ注目されてるぞ?」
「....え」
嫌な予感を感じて職員室へと目を向けると、私の大声にびっくりしたのか全員の教師がこちらを見ていた。
その中に織田先生も含まれていることに気づいて顔がぼんっと赤くなる。