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『イケメン戦国』永遠に紡ぐ恋ノウタ

第45章 トドカナイオモイ『後編』❥豊臣秀吉



そして部屋の中に入ると...


皆がにやにやとした顔で私を見つめてきた。

やっぱり恋仲だったじゃん!と言わんばかりの顔で。


そんな目線を浴びている中で、ひとつだけ鋭い目線を感じて私は思わず背筋が震えた。

誰の目線か見当がついている私はそちらには振り返らずに自分の位置へと戻る。


そしてその日はその鋭い目線をひたすらに浴びて一日を過ごした。














_______________________


それからというもの、私は秀吉さんと仮の祝言の話を合わせるためにちょくちょく二人で話し合っていた。


その日も。


「それでだな、ここでお前は大名達に挨拶してほしいんだ。」

「ここでだね!分かった!」

「それからこう前に歩いてきて、俺の横に座る。」

「うんうん」

「あとは------。」


そんなふうに話を進めていく。

そしてたまに笑い合って楽しいような責任感のあるような複雑な時間を過ごしていた。

だけど、その時間が私にとってはとても心地よく、安らげる時間となっていたのは間違いなかった。


そして秀吉さんは話が終わって私を見送るとき、毎回申し訳なさそうな顔を浮かべるのだ。

「ごめんな、華。こんなことに巻きこんじまって。」


「ううん!もとはと言えば私だから...気にしないで!」


私も秀吉さんが謝る必要なんかないのに...と思いながら笑顔を浮かべる。

そして、私の笑顔が秀吉さんと楽しく話していた、あの頃のように戻ってきているのを私は感じていた。


「じゃあまた明日な。祝言は....今月中になりそうだ。」

「うん、分かった。じゃあまたね!」


その秀吉さんの屈託のない笑みに心を揺り動かされるのを感じながら、私は秀吉さんに背中を向けて自分の部屋へと帰った。








華が去っていく頃。

自分の恋仲の方の華が帰ってきたことに気づいた秀吉はにこっとその人に笑いかける。

だが....視線は、

その自分と恋仲ではない方の華を見つめていた。

そして姿が見えなくなってから自室へと戻る。


その目線が、これまで恋仲ではない方の華に向けていた目線とは違う情が入っていたことを、秀吉はまだ気づかなかった。



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