第43章 愛が溢れる境界線❥伊達政宗
(このままじゃ今すぐ襲いそうだ。)
口づけをされて目がほわんとなっている華を見るだけで体が熱を上げていく。
「...っ、華。」
その熱の大きさに耐えきれなくなってそう呼ぶと華もとろけた目でこちらを見た。
(っ、これは、やばいな。遠回しに誘ってみるか。)
そして如何にも健全な言葉を装う。
「なぁ。お前と今すぐ交わりたいんだが...いいか?」
「!」
その言葉が何を意味するかは流石に華でも分かったようで。
顔を真っ赤にして叫んだ。
「っ、政宗、そういうとこだよ!」
「駄目なのか?」
「っ...」
こうして目を真っ直ぐに向けてお願いすれば華が折れると分かりながら問う。
すると顔が赤いまま、案の定華は眉を下げて口を開いた。
「っ、仕方、ないなぁ」
そう言いながらも目は何かを期待している。
(...素直じゃないな。俺も、お前も。)
華をさらっと抱き上げながら考える。
華が驚いた顔が見えるが、それには触れずにそっと笑顔を返した。
そして、少しだけ回想する。
もし、どちらも相手に一言言っていたならば。、
こんなふうにお互いすれ違うこともなかったのだろうか。
こんなふうにお互い一人で寂しい夜を過ごすこともなかったのだろうか。
(...いやそれでも。)
きっと今回の件は俺と華にとっていい経験になった。
どちらもお互いを必要としていて、どちらもお互いのことを愛していることを、再確認できただろう。
(....そして今からは、この幸せそのものをとろとろに溶かしてやらないとな。)
腕の中の愛しい存在に政宗は目をやる。
そして今度こそ血迷わないぞ、という気持ちも込めて。
そっと 華の頭のてっぺんに口づけを落とした。
終。