第4章 夢のなかだけじゃ物足りない❥豊臣秀吉
きっと、あの晩のことが無かったら俺たちの人生は重なっていなかっただろう。
そう考えれば、雷に感謝、だな。
それに、今は。
「ととさまぁ!!!」
可愛らしい声でかけてくるのは、
俺と華の愛の結晶だ。
「こら、廊下は走るなよ。」
そう言うと華と同じように急に走るのをやめ、ゆっくりとこちらに歩いてきた。
俺がその子を抱き上げると...
「かかさまがね!ととさまのことだぁいすきだっていってたよ!」
「こら 愛!それは言ったら駄目だってかかさまと約束したでしょ〜!!」
そういって愛と同じようにかけてくるのは俺の大好きな妻だ。
「だって、かかさま、ととさまがいないとき、ずうっとととさまのはなししてるんだもん!」
「あっ、愛〜〜〜!!!」
「ふーーん。」
しまった。という顔で華が俺を見上げた。
「へぇ~、お前俺がいないとき俺の話ばっかりしてるのかぁ」
そう言ってにやりと笑うと...
「もうっ!秀吉さんの意地悪!」
顔を真っ赤にした華が返事をした。
こうして、笑っていられるのは華と、愛のおかげだ。
秀吉はあたたかい何かに包まれているのが分かって、なぜか涙腺が緩んだ。
きっとこれからもこうして笑っていられる、それだけは確信して。
終。