第40章 伝えられない真実『前編』❥徳川家康
最初に言います。
家康のキャラ崩れます。
それでもいいという方はどうぞ。
「おい、徳川が来たぞ!」
「うわ、逃げろ!」
(...ちっ)
俺が通りを歩くだけで周りの奴らがどんどん逃げていく。
そんな様子を俺は横目で見ていた。
(....どうせ俺は一人なんだよ。)
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ある古いお城に。
一人の男が住んでいた。
その名前は、徳川家康。
しかし、その名前から想像もできない横暴さで町の人からは避けられていた。
だが、その徳川家康に、ひとつだけ自慢できる趣味があった。
それは....満開に咲いている、庭園。
それは家康の生きがいでもあり、唯一、大事にしているものでもあった。
そして、それが。
この1つの切ないお話を切り開いていくことになる。
「....またか。」
俺は自分の城に戻り、ひとつため息をつく。
しかしそのため息と声は誰にも聞かれることなく城に響いた。
「....俺は、いつになったら素直になれるのか。」
そんな声も今は誰も拾ってくれない。
そりゃそうだ。
もともとここにいたメイドたちは俺が全部追い払った。
最初は困惑していたメイドたちだったが、俺が一つ吠えると嘘のように散り散りになった。
(...くだらない。)
俺はそっと庭園を見つめる。
あの庭園だけが、自分の心を落ち着かせてくれるものだった。
色とりどりに咲く綺麗な花たち。
それを見ているだけで心が浄化されていくような気がした。
(...そもそも俺がこうなったのは、俺のせいじゃない。)
そうやっていつも自分に言い聞かせる。
じゃないと自分の心の底に眠っている何かが動き出しそうな気がした。
そして俺はそこで、ある忌々しい少年時代を思い返していた。