第38章 大好きな君のトリセツ❥真田幸村
「....お前、何してんだ?」
2月なのに暖かい日。
幸村が私に向けて不思議そうに一言放つ。
「ん?なんのこと?」
だけど私はにこにこでそのまま幸村の後ろに回り込む。
「何だ...?何が目的なんだ?」
幸村はまた不思議そうに私を見るも今度は同じように廊下を歩き出す。
そんな幸村の後ろをまたついていく。
(絶対絶対幸村と喧嘩しないようにしなきゃ...!!)
私がこう強く思ったのには、ある理由があった。
それは先週のこと...
私は春日山城の針子部屋で楽しく作業をしていた。
でもふとしたことからその中の一人の女の子の旦那さんの話になって....
「ほんとにいいわよねぇ、あんたのとこは仲良くて。」
「ほんとほんと!羨ましいわぁ」
「いえいえ、そんなこと...」
いつものように和気あいあいと話し合っていた。
私もその中に入っていた。
するとそれを言われた子が照れながら持ち物から何かを取り出した。
「私とあの人が仲良いのは...コレのおかげかもしれません」
そうして取り出したのは...
「「...取扱説明書?」」
「...はい、これがあの人の取扱説明書です」
はにかみながら紹介するその子。
それを私はこの時代にも取扱説明書なんてあるんだぁ、位に思っていたけど。
次の瞬間に私は一気にその子の言葉に釘付けになった。
「喧嘩もぱったりと無くなったんですよ!」
(え!)
「これであの人が嫌いなこととかぜんぶひと目でわかるから喧嘩なんて無くなりました!だから仲いいのかもしれません」
そう言って幸せそうに笑うその子に私も釣られて頬が緩む。
それと同時に私と幸村とのことを思い出していた。
(私達は喧嘩ばっかりかも...)
幸村と恋仲になる前も後も。
いつものように喧嘩をしている私達。
なんやかんやとうまくやっているものの、私的にはやっぱり喧嘩はないほうがいい。ラブラブでいたい。
(...私も、作ってみようかな、)
もしかしたらこの子のように喧嘩なしで幸せになれるかもしれない。
そう思ったのが、幸村のトリセツを作るきっかけになったのだ。