第36章 幸せなら手を叩こう❥豊臣秀吉
(だけど...それも幸せだ。)
他愛もないことで幸せを感じられる。
そんなこと華に出会うまで感じられなかった。
どれくらいそうしていただろうか。
流石の華も腕の中で声を上げた。
「あの、秀吉さん...そろそろピクニック始めませんか...?」
「あ、そうだな、つい可愛くて抱きしめたままにしてた、すまん。」
素直に言うと、
「っ、またそういうこと言う...!」
そう言うと更に顔を赤く染めて俺の腕をぽかぽかと叩く。
(あー、可愛いなぁ...)
俺はそれを受けながらぼーっと考える。
どうしてこんなに可愛いのだろうか。
やはりこの子には可愛い要素しかない。
「わかった、わかった、とりあえずぴくにっく始めようか?」
「うん...!!楽しもうね!」
俺がぴくにっくの話を振ると今度は嬉しそうに目をきらきら輝かせる華にどきりと心臓が高鳴るのを感じながらも
俺はそっと華の手を取った。
「ふふ、秀吉さん卵ついてるよ?」
「え、どこだどこだ?」
二人で華が作ってくれたさんどいっちを食べながらもまったりとした時間を過ごす。
「ほら、そこそこ、ほっぺ!」
そう言いながらも笑って俺のほっぺを指す。
それにようやく卵を取る。
「あー、ほんとだな、すまん...」
(折角華の作ってくれたものを...)
俺があからさまに落ち込むと華は慌てたように言う。
「いいよ、いいよ!そんなこと誰にでもあるから!ね?」
そうして必死に俺を慰める華に更に愛しさを感じて近寄ってきた華をぱっと捕まえた。
「わぁ、秀吉さんっ...!」
「いいだろ?お前のことみたら抱きしめられずにいられない」
「っもうっ...!」
本音を言うと華は声を上げるも、それに拒む様子はない。
「やっぱりお前は可愛いなぁ、」
ふいに漏れた本音。
すると華が目ざとく反応した。
「っ、可愛くないよっ...」
「いいや可愛い。」
「可愛くないっ...」
「可愛い!」
「可愛くないっ!」
そんな他愛もないことを繰り返す。