第36章 幸せなら手を叩こう❥豊臣秀吉
ある、春の日。
俺と華は華の提案で500年後のぴくにっくというものをしに野原に来ていた。
「わぁ、綺麗だね、お花!」
「はしゃぐのもいいけどコケるなよーー?」
原っぱに咲き乱れる花たちを見て走り出す華。
その姿に華が何歳なのか忘れてしまう。
(まるで幼子だな)
しっかりと食べ物やらなんやらと用意してきた。
それがぴくにっくとやらの楽しみ方らしい。
「秀吉さーん!はやくはやく!すごい綺麗な花が咲いてるの!」
「ああ、今行く!」
もう既に遠くに行ってしまった華を追いかけるようにして走り出す。
(ふっ...こんな幸せが手に入るなんてなぁ...)
走りながらもふと考える。
最初は本当に信長様だけのために生きようと思っていた。
信長様に命のすべてを賭けていた。
だけど、華という女が現れてから...俺の人生は変わった。
もちろん、良い意味で。
あいつは俺に知らなかった感情をもたらした。
それが、何故か気持ちのいいもので...
気づいたときには華に恋をしていた。
(なんだか今となっては懐かしいな...)
そう思っていると、
「秀吉さん?」
「!」
ふいに華に名前を呼ばれた。
考えていて声が聞こえていなかったらしい。
「あぁ、ごめん!考え事してた。」
すぐに謝る。
だけど華は俺のことをじっと見つめて...
「私がいるのに....考え事してたの?」
ぷうと顔を膨らませて、顔も少し赤く染まらせて。
(おいおいおいっ....これは反則じゃないかっ...)
いきなりかわいい事をする華に言葉が詰まる。
(何でこんなに可愛いんだよっ...ほんとに人間か?)
そう思うと同時に手が伸びる。
そして次の瞬間には...
華を自分の腕の中に収めていた。
「っ...秀吉さん?」
腕の中で小さい声を上げる華。
それさえも可愛くて更に強く抱きしめる。
すると華もたどたどしく背中に手を回してきた。
その仕草さえも可愛く思ってしまう自分に何だか呆れる。