第32章 星空は愛の囁き❥徳川家康
「おめでとう、家康...!!!」
俺が、三成からはーとの10を抜き取ったあと、華が笑顔で俺に笑いかけた。
(っ、勝った...俺が...)
三成はかなり作戦を考えてきたらしく、戦略に惑わされそうになった。
だけど、最後に頼ったのは直感だ。
俺が華を見たあとに三成を見ると。
小さな笑顔を浮かべていた。
降参です、と言わんばかりのその笑顔に、今回は何故か腹が立たなかった。
俺が少しだけ三成に口角を上げたとき...
「...あ!星、もうすぐ見えるよ!」
華がぱっと声を上げる。
そしてこちらを見ると、
「ねぇ、結局どっちが行くことになったの?」
その答えに俺は一瞬ためらって三成を見た。
すると、三成は小さく頷く。
それに俺も頷いて、華に声をかけた。
「俺が行くことになったから。」
「えっ、家康!?」
何故か華が驚いた声を上げた。
それと同時に頬が少し赤くなる。
(何...?俺と一緒じゃ嫌?)
そうは思ったものの、これは勝者の特権だ。今手放すわけにはいかない。
「いいでしょ?俺で。さぁ、行くよ。」
俺は華の返事を待たずにそっと手首を掴んで部屋から出る。
あれでも三成は武将だ。
いさぎよく諦めてくれるだろう。
そう思って俺は華と一緒に歩き出した。