第29章 瞳を閉じて、こっちに来て。❥豊臣秀吉
その姿にまたどきりと心臓が高鳴る。
そして華がそっと口を開いた。
「私も、秀吉さんの事が、好き。」
「っ...」
その笑顔と言葉は破壊力抜群で。
何だか負けてしまったような気がした。
(...いや、華になら負けても良いんだが。)
だけど、華は気持ちに気づいていないんじゃなかったか?
いつ俺に対しての気持ちに気づいたのだろうか。
少なくとも朝には分かっていなかった。
気になった俺はそれとなく華に聞くことにした。
「お前は....いつから俺を好きになったんだ?」
「あのね、元々秀吉さんのことは気になってたんだよ。」
(え、...)
何だか予想と違った返答に驚く。
「でも、秀吉さんに好きな人がいるって聞いてすごいもやもやして...この気持ちが何かなって思ったときに、好きって気持ちが出てきたの。」
「そうなのか...」
じゃあ少なくとも俺のことは意識していてくれていたのか。
「うん、そう。だから、秀吉さんの事、大好きだよ」
「っ、またお前はそんなことを...」
ぽんぽんと甘い言葉を吐く華に少し悔しくなって華の耳にそっと近寄る。
そして、それを言ったらすぐに顔が赤くなる恋人を予想して。
それにさえも愛しく感じて俺はそっと呟いた。
「愛してる。華。これからも、一生。」
そして予想通り赤くなった恋人を見ながらも俺はきっと世界一幸せな気持ちで微笑んだ。
終。