第28章 恋の魔法より貴方の愛を。❥徳川家康
『もう家康なんて知らない!私は家康しか見てないもん!!』
『っ、じゃあ俺もほんとに知らないから、!』
(はぁ...)
そんな会話をしたのがもう三日前だろうか、
俺は鍛錬場でいつもの鍛錬をしながらも心の中は華で埋め尽くされていた。
木刀が空を切る音が鍛錬場に響く。
(...完全に俺が言い過ぎたんだよな)
華に小さい嫉妬をしてしまって。
そしてその事で華とぶつかってしまったのだ。
でもその気持ちも華は理解してくれると思いこんでしまっていた。
俺のこんな面倒くさい性格なんて理解したくても理解できない、なんてことは今になったら分かることだ。
だからこそ後悔が押し寄せてくる。
(はぁ...最悪だ。)
最近華に触れるどころか変な意地を張ってしまい、話すこともままならない状況だった。
(っ、俺が馬鹿だな。)
その気持ちを全て木刀に任せて振る。
それを繰り返していた時。
「...家康様?」
「!」
今一番聞きたくない奴の声が聞こえた。
(はぁ、こっちも最悪。)
心の中で悪態をつきながらもそいつの方には振り返らずに木刀を振り続ける。
さっさと行ってくれと願いながら。
だけど。
「家康様!家康様!」
「...」
「いえやすさまーーー!いえやーーす、さーー」
「っ、なんだよ!」
気持ち悪い言い方で俺の名前を呼ぶ三成に腹が立ちとうとう振り返った。
そんな俺に三成はキラキラした目で俺を見る。
「家康様は私の声が耳に入らないほど鍛錬に集中してらっしゃるんですね!素晴らしいです!」
「...で、何の用。」
俺はその面倒くさい三成の言葉は流して早速本題を聞き出す。
「そう、家康様に言いたいことがあるのです!!」
「はぁ、何。」
さっさとこの場を終わらせたい俺は端的な言葉で伝える。
「ええ、それなんですが...家康様。」
いきなり三成が真面目な顔になる。
「な、何。」
その顔に少したじろぐ。
何か重大な事でもあったのだろうか。
すると...