第27章 消えない想いは永遠に。❥明智光秀
現代に帰ると決め、佐助くんにワームホールが開くところへと連れられていく。
そして私は佐助くんからそっと草むらへと降ろされた。
「華さん、ここで待ってたら、必ずワームホールが来るから...。」
佐助くんが言う。
それと同時に、大粒の雨が降ってきた。
それはすぐに強いものへと変わり、豪雨の音しか聞こえなくなる。
そして、佐助くんが私に向かって叫んだ。
「華さん!俺は巻き込まれるからもう行くけど...どうか...幸せになって、!!」
その言葉ははっきりと私の耳に届いた。
「うんっ!ありがとうっ...!!」
私はそれに返事をする。
すると、馬の気配が遠ざかっていくのを感じた。
遠くで、雷の音がする。
あぁ、もう近づいてきていると、そう思った時だった。
「華っ...!!!!!」
どこかで、私の名前を呼ぶ、愛しい人の声が聞こえた。
(ふふっ、光秀さんの事が好きすぎて幻聴が聞こえたのかなっ...?)
そうは思うものの、久しぶりに聞く私の名前を呼ぶ愛しい人の声に、涙がぼろぼろとこぼれていく。
(光秀さんに、会っておくべきだったかな...っ)
心の中で深く思う。
溢れ出る涙とともに光秀さんに会いたいという想いも溢れ出る。
しかし、ワームホールも確かに近づいてきているのも分かる。
雷もさっきより音が大きくなった。
そう思った途端、また愛しい人の声がした。
「華っ...!!華っ...!!」
「っ...」
はっきりと耳に届く光秀さんの声。
その声にまた涙が溢れ出た。
その声はずっと鳴り止まない。
まるで私を探すように響き渡る声に私はもう豪雨で前が見えないのか涙で前が見えないのか分からなくなった。
「光秀さんっ...」
私がその声に返事をするようにそっと声を出す。
すると、その声はぴたりと止まった。
そして、誰かの足音がこちらに向かって近づいてくる。
(っなに、何なの...?)
確かにこちらに向かってくる足音に豪雨の中で目を凝らした。