第22章 トキメキが止まらない?❥織田信長
天守に取り残された私は一人でそうっとため息をつく。
「...仕方、ないよね?」
自分に言い聞かせるようにそっと呟いて私も天守を後にした。
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あれから、もう2週間ほどだろうか。
信長様には、ほとんどと言っていいほど会えていない。
「はぁ...」
また私は大きなため息を吐いた。
信長様に会えないというのがこれほどまでに辛いことだとは思わなかった。
しかも、それは信長様だけでなく、安土の武将は皆忙しそうにしている。
誰に話しかけようとしてもごめん、とあしらわれるだけだ。
でもそれは全て忙しいからだと私は知っている。
(だから、私が弱音吐いたら、駄目だよね。)
そう自分を押しとどめてこれまで我慢してきた。
でも...
「...寂しい、な。」
信長様も皆も忙しいと分かっているのにこうしてわがままを言ってしまう自分が嫌になる。
だけど信長様に逢いたい気持ちは日に日に増していっていた。
(…信長様も、同じ様に思ってくれてるのかな。)
信長様も、私に会えなくてさみしいと。
そうだったらいいな、なんて確信を持てない自分にまた嫌気がさす。
(信長様の心を離れてても覗けるものがあったらなぁ)
なんて考えていると。
(...あ。)
一つあるものを思い付いた私はぱっと立ち上がり、わたしがタイムスリップした時に持っていたあの鞄に近づいていった_____。
「あった...」
私はこちらに来たときに友達と暇潰し用に持ってきていたある本を鞄の中から取り出した。
そのタイトルには、
『誰でも分かる!心を覗き見心理テスト』
と、書かれていた。
それに私はごくんと生唾を飲む。
(これで、信長様の本心が、知れる。)
こういうものは唯の推理でしかないのに、信長様の愛情に飢えていた私は何も抜きにこれを信じた。
そしてそっと一ページ目を開く。
するとそこに大きな文字で、
『彼の心を知りたくないですか?
彼の心を覗き見テスト』
と、書かれていた。
(っ、知りたいです。)
その文字に返事をしてしまう。
そして私は二ページ目をそっとめくってどれを信長様に質問するかを選んでいった。