第3章 二人の恋の交差点 ❥徳川家康
風も冷たくなってきたこの頃...
(うぅ、寒い...!!)
寒いのが苦手な私はもうすでに着込んでいた。
(寒さなんてなくなればいいのに!)
「残念ながらそれは無理だけどね。」
(!?)
そう私の心の声に答えたのは...
「家康さんっ...」
廊下を歩いていた、
私の、好きな人だった。
「あの、私声に出てましたか...?」
「えっ、モロ出てたけど、気づかなかったの?」
(嘘でしょ!?)
「っ、はい...」
声に出ていたことが恥ずかしくて俯くと...,
「ふっ、」
頭上から笑い声が聞こえた。
それに顔を上げると...
珍しく家康さんが声をあげて笑っていた
「ふふっ、ははっ、あんたさ、めちゃめちゃでかい声で言ってたのに気づかなかったなんてっ...ふふっ」
どきっ
(家康さんが笑うだけでどきどきするなんて重症だなぁ)
それにしても...
「いつまで笑ってるんですか、!」
「いやっ、あんたが面白くてっ...止まらない...っははっ、」
そういう家康さんをなんとも言えない気持ちで見守っていると..
「でも、あんた見るからに風邪ひきやすそうだから、気をつけなよ。」
そういって家康さんが着ていた羽織をふわっと掛けてくれた。
「えっ、でも!」
「俺は平気だから、武将舐めないでくれる?」
そう言葉を残すと、さっきの笑いはどこに言ったのか、家康さんはすたすたと廊下を歩いていってしまった。