第21章 純白華蜜烈火理論❥徳川家康
家康に抱き抱えられて連れられてきたのは...
「わあっ...!!!」
一面にピンクの花が咲いている、花畑だった。
家康は私をそっと下ろす。
「この前、戦から帰ってくるときに見つけたから。一番に見せたいと思って。」
家康が少し照れながら言う。
それさえも私は嬉しくなってしまう。
「すっごく綺麗だね!!今が一番咲き誇ってるのかな?」
「うん、今が季節だと思う。」
どこを見渡しても一面の満開だ。
(ほんとに、綺麗...)
あまりの美しさに私は魅入ってしまう。
そのままずうっと見つめていたら。
「ねぇ。」
家康が何回もそう言っているのに気づけなかった。
「ねぇ、華、ねぇ。」
私はその家康の声にも気づけなくて。
家康が私の腕をぐっと掴んだ。
「!?」
そこでようやく家康が呼んでいたことに気づく。
「ねぇ、何回も呼んでたんだけど。」
あからさまに不機嫌な顔で私を見つめる。
「っあ、ごめん、お花につい見とれちゃって...」
それに私は咄嗟に謝った。
すると...
「じゃあ、次は俺の番ね。」
「え?」
俺の番とはどういう意味だろうか。
そう思っていると家康が掴んでいた腕をぱっと離して、私の頬を掴んだ。
「!?」
そして優しく引き寄せる。
「今度は俺が見つられる番...でしょ?」
家康が甘く、呟いた。
「っ....!!」
ぼんっと自分でも音が聞こえるくらい顔が赤くなるのが分かった。
「ふ、赤くなりすぎ。」
家康がそんな私を見て笑う。
「っう、家康のせいだよっ...」
私が必死の思いでそう言うと。
「へぇ、俺のせい?」
そう言って家康がにっと笑う。
あ、これはまずい。
直感的に思ったときだった。