第21章 純白華蜜烈火理論❥徳川家康
「え、家康が、見合い?」
あるぽかぽかした日の昼下がりの部屋で。
私はそんな声を上げていた。
「うん。でも別に仮のものだからほんとに見合いするわけでもないし。」
そう答えるのは私の恋仲の人、家康だ。
私がこの時代にタイムスリップしてきて色んなことがあった。そして、その色んなことがあった末に、家康と恋仲になったのだ。
私は素直な言葉を口にする。
「っ、でも、家康が見合いするなんて妬けちゃう、かも。」
自然と語尾が小さくなってしまう。
そんな私の様子を見てか、家康がそっと近づいてきた。
そして、私をぎゅっと抱きしめる。
「俺はあんたのことしか見てないから、大丈夫」
そう言って抱きしめる力を少し強くする。
すると少しだけ不安が和らいだ。
でも。
「どうしてお見合いすることになったの?」
「光秀さんの作戦なんだ。」
家康によると、家康がお見合いする予定の姫君の父は信長様に謀反を企んでいるという噂があるらしく、その真偽を確かめるために今回お見合いを開くという。
「だから、本当にこの見合いには何もない。その姫にも興味ないから。」
家康が私をまっすぐ見つめて言う。
「っ、うん分かった。余計な心配はしないでおくね」
私がそう答えると家康は満足そうな笑みを浮かべた。
「うん、よろしい。見合いは明日だから。」
そう言って私の頭をぽんと撫でた。
するといきなり家康はすっと立ち上がって、
「ねぇ、今から行きたいところあるんだけど。」
と、私に言ってきた。
「え、今から?」
突然すぎる提案に驚く。
「うん。あんたに見せたいものがある。」
家康はそう言うと私の腰に手を回した。
「っえ!?」
そして、一瞬のうちに抱き上げる。
「はい、行くよ。」
「え、こ、このままの体制で!?」
「なに、文句あるの」
なんて家康が不服そうな目で見つめるから。
「っ、仕方ないなぁ」
私は断るわけにもいかず、渋々と承諾した。
その返事を聞いてまた家康はふっと口角を上げた。