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『イケメン戦国』永遠に紡ぐ恋ノウタ

第20章 桜記念日『後編』❥真田幸村




幸村が、春日山を飛び出したその頃...





私は幸村のことを思って考え込んでいた。

(幸村、いつ帰ってくるんだろう)

「っ、ちゃん?」

(もしかしたら帰ってこないなんて、ないよね)

「... 華ちゃん」

(幸村は帰ってくるって言ったもん。)

「華ちゃん!!」


「!!」



その声で私は回想からいきなり目が覚めた。


「もうー華ちゃん!何回呼んだか分からないよー?」

針子の仲間が私に向かって話しかけていた。

「うわあ、ごめん!考えごとしてて...」

私がそう言うと、その子が私をじっと見つめて、



「何を考えてたの?」


私にそう聞いた。


「っあ...」


さすがに、敵陣の武将に恋煩いをしている、なんて言えない。

「あーっ、えっと...」


そういうふうに私が言い淀んでいると...

その子がそっと私の肩に手をおいた。

「言いたくないことなのね?」

そして優しい声でいう。

その言葉に私は少しだけ頷く。



きっと、これは言ったら幸村にも迷惑がかかるし、この子も驚いてしまうだろう。

混乱は起こしたくない。それが私の想いだった。


その想いを汲み取ったのか、

「言いたくないなら言わなくていいんだよ、でも、何かあったら何でも言ってね?」

それには私は大きく頷く。


「うん、うん!」

その返事を聞いたその子はそっと微笑んで、何かを思い出したようにあっ!と言った。


そして私に向き直って、


「信長様が華ちゃんの事を呼んでたの。それで呼びに来たんだけど...」

「え、信長様が?」

「うん、今すぐ来てって。」


信長様が...

一体なんだろうか。


最近信長様とは話してもいないし、会ってもいない。

それは意図的ではなく、信長様と会う機会がなかっただけなのだけど。

「分かった、行ってくるね」

私は頭を切り替えて信長様の所へ向かうために、

そっと腰を上げた。










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