第19章 桜記念日『前編』❥真田幸村
あれから、少しの月日が流れて。
私は、信長様の口から幸村が戦国武将であることを聞いた。
そして。
近々、戦があると。
「え、それ、ほんとですか...?」
私は目を丸くする。
「あぁ。何故俺が嘘を言う。」
その言葉に、頭が真っ白になる。
あれからも私と幸村は時々会っていた。
(な、んで...)
でも、そのときも幸村は俺は商売人だって...
でも、信長様が言っていることは事実だろう。
ならば。と、咄嗟に声が出た。
「私も、連れて行ってください」
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私は、戦場に来ていた。
連れて行ってくださいと言ったあの時、信長様は絶対に反対すると思ったのに、
「ほう。貴様、良い目をするな。」
「え...」
いきなり信長様が言ったかと思うと、
「貴様は、貴様で、やらなければならないことがあるのだろう?」
全てを見透かすような目で私を見つめた。
それに屈することなく、私は答える。
「っはい。私には、やるべきことがあります。どうしても、会いたい人が、いるんてす。絶対に迷惑はかけません!お願いします!!」
そう言って深く頭を下げると...
「...面を上げよ。」
信長様が威厳のある声で言った。
そして。
「良いだろう。貴様を連れて行ってやる。」
「!!」
「だが、自分の身は自分で守れ。何かあったら頼れるのは自分だけだからな。」
「っ、はい...!!!ありがとうございます!」
そう。私にはやらなければならないことがある。
愛しい人に会う為に。愛しい人の心の為に。
私は行くのだ。
最初はうーんと言っていた秀吉さんも最終的には納得してくれ、とうとう今私は前線にいた。
「しっかり掴まっておけよ!!」
信長様が後の私に叫ぶ。
「はい!!!」
私は必死に答えながらも、その目は幸村を探していた。
飛び交う矢。
飛び交う怒号。
飛び交う熱意。
すべてがここに集結している。
(ゆきむらっ、幸村、どこ...!!)
その中で私は必死に幸村を探した。