第18章 蒼い瞳のその奥を。❥伊達政宗
政宗は、いつも、私の心をぐらぐらと揺り動かす。
昨日だって...
「政宗~頼まれてた着物出来たよ~?」
私は政宗の部屋に作り終わった着物を届けに来ていた。
「おお、見せてみろ」
私は政宗の前に作った着物を広げる。
「...」
「どう、かな?」
政宗が黙っているので出来が悪かったのかと心配になる。
すると政宗は急に私の腰をぐいっと引き寄せた。
(!?)
そして私の耳元で囁く。
「...上出来だ。」
「っ...!」
色気を含んだ政宗の囁きにどきっと胸が高鳴る。
顔が赤くなったのが分かった私は政宗の胸をぐいっと押し返す。
「ちょ、やめてよっ...!」
体を離された政宗は若干眉を寄せながらもにやにやしながら私に言った。
「俺はお前に感謝の気持ちを伝えようとしただけなのにな?」
「っ、!」
その顔にだってどきどきが止まらない。
それを誤魔化すように私は言い返した。
「っ、政宗が抱きしめるから駄目なんでしょ!」
「なんで駄目なんだよ」
政宗がすぐ言い返す
「こういうのは恋仲の人たちがすることだよ!」
私の言葉を聞いた政宗は、
一瞬真面目な顔で私を見つめ、
「じゃあ、俺とお前が...」
そこまで言うが政宗はふっと言葉を濁した。
何を言おうとしていたのか分からない私は首を傾げる。
そんな私を見た政宗は...
私の唇をかすめるように口づけた。
「っうう~~!?」
私は声にならない声を上げた。
そんな私の様子に満足したのか政宗は口の端を上げると
「お前の着物すごく良かった。またお前に頼むな?」
と、私に言う。
さっきのことでかなり動揺していた私は声がうわずってしまった。
「っ、分かった、も、もう私は行くね?」
「あぁ。またな。」
そう言って政宗はひらひらと手を振る。
政宗の部屋を出た私の心臓は、これでもかというほど高鳴っていた。
私が出ていった部屋で
「...可愛すぎなんだよ。」
なんて、政宗が呟いていたのも知らずに。