第16章 キライキライやっぱりスキ❥徳川家康
初めて重ねた唇は。
甘い甘い、恋の味がした。
俺がそっと唇を離すと、
ようやく華が口を開いた。
「っ、私、家康に嫌われてると思ってた...」
華が腕の中から俺だけに向けて話しかける
(まぁ、最初はね。)
俺はその言葉を聞きながら思う。
最初は、正直嫌いだった。
よく泣くし、おせっかいだし、うるさいし、騒がしい。
そう思っていた。
でも、
あの子は全部全部人の為を思ってやっていることで。戦はしたくないし、人を傷つけたくない。なんていう甘い考えだったけど、
その考えが、俺を救った。
華の優しい言葉が当時悩んでいた俺を救った。
それから、俺は華を意識するようになった。
でも、見れば見るほど、好きになっていく、堕ちていくのが自分でも分かった。
だから、キライ、キライと自分に思い込ませていた。
だけど、それがいつまでも続くわけがない。
いつだったか、華が城に帰ってこないときがあった。
俺は死ぬほど探し回って、結局華は花を見ていただけだったけど。
その時に、俺は本当の意味で自覚した。
俺はこの子が好きなんだと。
どうしようもないくらい、好きなんだと。
そう自覚してからは、早かった。
どんどん華の魅力に堕ちていった。
そして、いつの日か同じ気持ちを返してほしいと思うようになった。
まさか、今叶うとは、思わなかったけど。