第12章 寒〜い日にはアツアツを?❥豊臣秀吉
(秀吉さんの思いが、たくさんこもってて、美味しい。)
私は心の底からそう思ったが。
「あまり、出来のいいものを作れなくてごめんな。」
秀吉さんが眉を寄せて謝ってきた。
(え?美味しかったけどな。)
確かに出来のいいものではなかったが、秀吉さんの美味しいものを作りたいという思いがひしひしと伝わってくるお鍋だった。
「ううん、美味しかったよ?」
私がそう告げると。
「そうか?ならいいが...」
といいつつも秀吉さんは腑に落ちない表情だ。
そこで私が、
「秀吉さんの作ったご飯っていうのに意味があるんだよ?秀吉さんの思いがダイレクト...真っすぐに伝わってきてよかった!すごく美味しかったよ!」
私が笑顔で言うと...
「ばかっ、そういう顔は反則だろ...」
そう言って秀吉さんが顔を淡く赤色に染めた。
(え、照れてる...?)
秀吉さんは顔を赤くして私の方を見つめている。
(なんか、秀吉さんの新しい一面を見れたってことでも、一緒にご飯作って良かったな。)
「...ねぇ、秀吉さん。」
「ん?」
「たまには、こんな日があっても、いいよね?」
私がそう言うと。
秀吉さんはわたしをぎゅっと抱きしめて。
「当たり前だろ?」
そうやって私の耳元で囁く。
「...っ、うん!」
私は笑顔で頷いた。
終。