【金城剛士】あえてコトバにするなら【B-project】
第10章 絶頂エモーション.4
しばらく駈けた僕は、歩道で澄空さんを捕まえた。
「澄空さんっ!」
澄空さんはポニーテールをふわりと靡かせ振り向いた。
「へ…透さん?」
「これ、落し物。」
「あっ…!!ありがとうございます!」
僕からチケットを受け取った彼女は、頬を桜色に染めて口角を上げている。なんだか嬉しそうだ。
「間に合って、よかった。」
「とても大切なものなので、助かりました…」
僕も力になれて嬉しくて、澄空さんに微笑んだ。
「それじゃ、気をつけてね。」
「はい!行ってきます。」
澄空さんは自分の車に乗ってキタコレの取材現場まで向かっていった。
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つばさside
「まるで、映画のワンシーンみたいだった……」
まだ早まった鼓動が収まらなくて、胸の前でギュッと拳を握った。
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主人公side
「え?ジャスティンのドームライブVIPルームチケットをつばさちゃんが2枚持っていたの?」
悠太が渡せた?と聞いたのでかくかくしかじか話したら、大きな声で驚くもんだからみんなが聞き耳を立てた。
「デートか?」
「あんなに忙しそうなのに?」
タツの意見に和南が疑問を返す。
「もしかして、さっき言ってたご褒美とか?!」
輝の提案にみんなの目が輝いた。
「ペアチケットってことは、2人行けるってことになりますね。」
ミカが顎に手を当てて思考している。
「じゃあ、俺と行こうか。漣。」
健十は僕の手を取って、気障に口付けた。
「いいかもな。ジャスティン好きだし。」
「ふっ。」
僕はふざけて健十の胸にダイブした。
健十は僕を抱き締めて得意げに鼻を鳴らした。
「漣ちゃん?!なら、僕が1番になるから、僕と行こうよー!!」
「やめろ、揺らすな。前髪が崩れる。」
後ろで悠太が健十を引っ掴んでぎゃーすか騒いでいて面白い。
健十の腕は僕を守るように、さらにぎゅっと強く締め付ける。僕は健十の胸板でくすくすと笑った。
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