【金城剛士】あえてコトバにするなら【B-project】
第9章 絶頂エモーション.3
「まずは、一緒に食事をとる事から始めよう。」
「今日は夕飯だね。いただきます。」
アンディと倫毘沙が用意してくれたご馳走を談笑しながら頂いた。洗い物はもちろん僕。
「お風呂は入ってきたの?」
「うん、入ってきたよ。」
「じゃあ、ソファに座って、テレビを見よう。」
「OK。」
僕と倫毘沙は、くっついて座って、B-projectのドームライブ映像を見た。さりげなく、倫毘沙が僕の手を握ってきて、なんだかドギマギしてしまった。
「漣、緊張してるの?」
「はは…少し。」
「大丈夫、俺に任せて。アンディ。」
「はい、倫毘沙様。」
アンディが持ってきてくれたのは、暖かいミルクティだった。
「よく眠れるように、カフェインレスの茶葉を用意したよ。」
「ありがとう……美味しい。」
僕は倫毘沙の王子様具合に感心した。
しばらくライブ映像を見ていると、うつらうつらとしてしまっていた。そんな僕の髪を撫ぜて倫毘沙が微笑んだ。
「さぁ、歯を磨いて、眠ろうか。今日は僕がハニーの歯磨きをしてあげる。さぁ、口を開けて。」
「ん、え、恥ずっ…あ。」
しゃこしゃこ。
歯ブラシが僕の口内を小刻みに動いているが、丁寧なその動きが擽ったくて、息もしづらいし、倫毘沙のにこやかな笑顔が目の前に合って……
「はぁっ……ぁっ」
「漣、気持ちいい?」
「ふぁ…っ」
ぼくの頬に零れた涎を倫毘沙が指で拭ったのがわかって、僕の顔はかあっと熱くなった。
「はぁ…ずっと磨いてあげたいけど、漣の明日の仕事があるから、今日はもう終わりだね。」
「うあっ、あっ。」
最後に端から端まで優しく丁寧に舌を磨かれて、変な声が出た。
僕はうがいをして顔を拭いたあと、首まで赤くなった自分を鏡で見ないようにして、倫毘沙を睨んだ。
「その顔、色気があって、いいね。」
倫毘沙は愉しそうだ。
「俺の歯磨きもしてくれる?」
僕は約束なので恋人同士らしく(?)倫毘沙の歯を磨いた。
そのあいだ、倫毘沙は僕の目を見つめ続けた。
「俺の前では、そのままの君でいて。」
「わっ!」
洗面所から帰ってきた倫毘沙にサラシを外されて、僕は素肌にパジャマの状態になった。でも眠る時はいつもこうだから、ゆったりしていて気持ちがよかった。
「倫毘沙、おやすみ…」