【金城剛士】あえてコトバにするなら【B-project】
第8章 絶頂エモーション.2
ミカがリモコンを持って操作しているがテレビも消えないらしい。
「剛士、おいで。」
怖い夢を見た子供を抱くように、僕は剛士を抱き寄せた。剛士は小さくなって僕の胸の中で震えている。
(汗かいてる…)
髪をさらさらと撫ぜてあげると、少し落ち着いたみたいだ。でも僕はこの番組が終わるまで剛士を隠してあげたかった。
そんな僕らを殿くんがじっと見つめていることに気が付かなかった。
「ごうちん大丈夫?漣ちゃん、暑いね。」
悠太が話しかけてくれて、雰囲気が和らいだ。
健十は端の方に行って、むさい…耐えられない…とか言ってる。
いつの間に、倫毘沙や和南が服を脱いでいて、百はルーカスを扇いでなんとか治そうとしている。
「おい、遙日。お前、一発芸やってないだろ。なんかやれよ。」
「ええ〜?!今っすか?」
「少しでもみんなの気が紛れるかもしれないだろ。」
暑くておかしくなりかけてるタツが遙日に無茶ぶりをしたが、遙日はたじろいでいる。顔が青い。追い詰められたらしい遙日がヤケになった。
「あ〜もう耐えられない〜!うちに帰りたい〜!」
「はる…!落ち着いて…!」
「I wanna go home〜!」
唯月が懸命に諭しているが、遙日の耳には届いていないようだ。
偶然にも、百と暉がルーカスを呼ぶ声と、遙日の英語が重なった。
「ルーカス!」
「Cool it down,right now!!」
『Yes,I will.』
ぴっと起動音が鳴った後、空調が冷房に変わり、涼しい風が吹いた。
「あ、言語設定が英語に変更されてた。」
百が呟いた。
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無事、寿司も部屋に運び込まれ、豪華な歓迎会が再開された。
僕は食べすぎてソファで横になっている。ここはMooNsの部屋での、僕の定位置だ。
「はー、落ち着く。」
「漣ちゃん、もう自分ちじゃん。」
悠太に笑われて僕は得意げな目線をやった。
「またいつでも泊まりに来てね。」
「うん。ふふ。」
うるさい周りに聞こえないように、和南は僕の顔に唇を寄せて耳打ちした。
僕は擽ったくて少し笑った。