第5章 女は黙って笑顔に花
「貴様ら!!!昨日は何処まで花火を見に行っていたんだ!!!」
祭りの翌日。
境内に桂の怒鳴り散らす声が響いた。
「銀時に至っては稽古まで出なかったではないか!全くたるんどる!!」
「ラケットじゃねぇけど、ちゃんと振りはしたって。つかうるせぇ。」
両耳に指を突っ込んで、面倒臭そうに顔をしかめた銀時。
その態度は、まさに火に油をそそぐこととなる。
「心配したのだぞ!!」
「あいあい。」
「はい、だ!それに一回でいい!!」
「はーい。」
「幼児か、幼児なのか貴様は!!!」
こうも怒鳴ってはいるが、昨日二人がしっかり場所取りの仕事をしていたのも、そのあと二人で抜け出したのも桂は知っている。
桂と高杉は、案外並ばずに買えた焼きそばとたこ焼きを抱えて川辺へ向かい、抱き合っているところをしっかりみている。自覚のない銀時のため、色々な理由で高杉を丸め込み、彼らを二人きりにしたのも桂だ。だか、しかし。しかしだ……
「祭りに来たのにも関わらず!御祭りに行く馬鹿があるか!!!」
「あーうるせぇ!振りはしたっつってんだろ!!」
「誰が腰をふれと言ったんだ!!!!!馬鹿者!!!」
大声で言い合いを始めた二人の隣に静かに座っていた皐月は、今まさに銀時によってあらぬ事がバラされているにも関わらず、その表情を変えることはなかった。ふと気がついた違和感に、彼女は喧嘩中の二人に声をかける。
「晋助はどうしたんだ?」
「あやつは昨日の夜から寝込んでいる!!!」