第33章 scene6:君だけのHIME…にして?
それにしても…
僕の出したのを翔くんは“濃い”って言ったけど、翔くんのもけっこう濃いよ?
僕は僕のお顔に飛び散った翔くんの熱を指で拭うと、まるでペロペロキャンディでも舐めるみたいに、ペローンと舐めた。
「美味しい?」
「うん、とっても♪」
でもね、本当はね、上のお口じゃなくて、下のお口で飲みたいの…
「ねぇ、ちょっと待っててくれる?」
「え、うん、いいけど…、どうかした?」
首を傾げる翔くんの頬にキスをして、僕はベッドから飛び降りると、迷うことなくキッチンへと向かった。
調味料がストックしてある棚を開き、いくつかある瓶を掻き分け、目的の物を手にした僕は、大急ぎで翔くんが待つベッドへと戻った。
「え、それって…」
僕が手にしていた物を見た翔くんが、ただでさえ大きな目を更に大きくしたけど、僕はそれにかまうことなく瓶の蓋を開け、翔くんに差し出した。
「えっと…、これをどうすれば…?」
翔くんが戸惑うのも無理はないよね…
なんたって僕がキッチンから持って来たのは、オリーブオイルの瓶なんだからさ。
「あのね、コレをローションの代わりにと思って…」
「え、でも…大丈夫…なの?」
「うん、多分…」
前に撮影で使った時は、特にお腹壊すこともなかったし、元々お料理に使う物だから、身体に害はない筈。
「それにオイルだから、滑りも良くなるみたいだし…」
「そ、そう…なの?」
だって仕方ないじゃん?
ローションとかさ、和のお家にはあるけど、残念ながら僕のお家には用意してないんだもん。
はあ…、こんなことなら帰り道の薬局でローション買ってくれば良かった…
「そっか…、じゃあ…」
「うん…」
翔くんが手のひらにオリーブオイルを垂らす。
僕はその光景を見ながら、両肘と両膝をシーツに着き、四つん這いの格好になって腰を突き出した。