第18章 scene4:露天風呂
僕は名残惜しさを感じつつも、今度相葉さんと一緒にスイーツショップ巡りをする約束をして、風間ポンに手を振った。
それからお部屋に案内された僕は、窓から見える景色を楽しむことも、ゆっくりお饅頭を味わうこともなく、着ていたワンピースを脱ぎ、用意されていた浴衣に着替え…ようと思ったんだけど、女の子用の浴衣とかって、どう着たら良いのか分からなくて…
赤い下着の上に、淡いピンクに紫陽花柄が可愛い浴衣を羽織ったままの格好で、赤い帯を手に首を傾げた。
基本的な着付け方は変わらないんだろうけど、せっかく着るなら可愛くって、でも色っぽく着たいもん。
ま、どうせすぐ脱いじゃうんだけどね?
ただ、そう長く監督さんやスタッフさんをお待たせするわけにもいかないし…
「うーん…、どうしたら良いのかな…」
考えあぐねていた丁度その時、
「おい、準備出来たか?」
廊下の方から長瀬さんの声がした。
僕は絶対に無理だって思いながらも、赤い帯を手にドアをそっと開けた。
「あの…、無理なら良いんだけど…」
だって長瀬さんだよ?
「多分知らないと思うんだけど…」
ワイルドを絵に描いたような人だもん。
「帯ってどうやって結んだら良いの?」
着付け(…って程大袈裟なモンでもないけど…)なんて出来ると思わないじゃん?
なのに、だよ?
「ったく…、貸せ」
僕の手からスっと帯を奪い取ると、肌蹴た襟元をピピッと重ね合わせ、シュルンと伸ばした帯をクルンと僕の腰に巻き付けた。
そして僕の右腰の辺りでキュッと結んだ。
「なんか意外かも…」
「何が…」
一人言のようにボソッと呟いた言葉に、長身を屈めた長瀬さんが見上げる。
「案外器用なんだな、と思って」
「んなことねぇよ。ただ、仕事柄必要だから出来るだけで、別にこんなこと出来たからって何の得にもならねぇし…」
そりゃそうだけどさ…
イメージになかったんだもん。
「んなことより、さっさと行くぞ。貸切に出来る時間は限られてんだからな」
「はぁい♪」
僕は用意してあったお風呂セットを胸に抱えると、姿見の前でクルンと回った。
うん、可愛い♡