• テキストサイズ

H・I・M・E ーactressー【気象系BL】

第11章 scene3:病院


僕は戸惑いながらも、櫻井くんに向かって右手を差し出した。

だって今の僕は、“智”じゃなくて“HIME”なんだもん。

AV界に彗星の如く現れた“男の娘”女優の“HIME”なんだもん。

そうよ、恐れることはないわ!

僕は、僕の右手を握った櫻井くんの手を、もう一方の手で包み込むと、

「いつもHIMEのこと応援してくれてありがとう♡」

得意の“HIMEスマイル” で櫻井くんを見つめた。

「あ、あの…、俺…、等身大の抱き枕も持ってて…」

「へ、へえ…、そう…なんだ?」

「それで、毎晩一緒に寝てるっつーか…」

うん…、知ってる…

だって僕、ちょっと嫉妬したもん。

抱き枕だって分かってるけどさ、HIMEの姿をしていても、“僕”だってことには違いないんだけどさ、櫻井くんが見ているのが“僕”じゃなくて“HIME”なんだって思うと、やっぱり嫉妬せずにはいられなくて…

…って僕、櫻井くんのこと、相当気になってるみたいじゃんねぇ?

ダメダメ…、今は“HIME”でいることに集中しなきゃ!

「あのぉ…」

櫻井くんの手を解放して、僕は松本さんに視線を向けた。

「今日のHIMEの衣装…、どうですか?」

僕は短いスカートの裾を摘むと、その場でクルリと回って見せた。

僕の中に挿ってる“ソレ”の存在もすっかり忘れて、クルクルと…

当然、僕が動けば、“ソレ”も同じように僕の中で華麗なターンをするわけで…

「ひゃっ…、だめぇ…」

僕は櫻井くんが見ている前で、とんでもなく甲高くて、甘い声を漏らしてしまった結果、耳まで真っ赤になってしまって…

「くくく、そろそろ始めた方が良いのかもね?」

僕の反応に目をキラリと光らせた松本さんが、軽々と僕を抱き上げた。

「えっ…、あの…、松本…さん…?」

僕は咄嗟に松本さんの首に腕を回すと、落っこちないようにしっかりとしがみ付いた。

そうして僕が運ばれた先は…


『病院 』ー完ー
/ 753ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp