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終わりのない夏

第1章 田舎を出れば…


あれは高校三年の夏。
進路の事で親父と喧嘩した夏。

「馬鹿言ってねぇで、こっちで仕事すれば良い!」
親父の怒鳴り声。
「俺は東京で働きたいんだ!
こんな…
こんな田舎に埋もれたくない!」
思わず出てしまった本音。
「勝手にしろっ!
そのかわり二度とうちの敷居は跨がせないぞ!」
正に売り言葉に買い言葉だ。
険悪な二人の傍でお袋はお茶を啜り、涼しい顔をしていた。


親父とはそれ以来口を利いてない。
卒業後、家を出る時も親父とは顔も合わさなかった。

「これ、持っていきなさい
気をつけていくんだよ」
お袋がいつものように送り出してくれた。
渡された包みには弁当と封筒に入った十万円。
東京へ向かう電車の中で、涙を流しながら食べたお袋の弁当の味は一生忘れないだろう。
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