第1章 恋祭り【愛染健十】
翌日、祭りは大成功に終わった。
わたしは祭りに来なかった依与吏くんにメールで別れを告げた。返事は来なかった。
東京に行って健十くんと暮らすことをじじ達に告げると、やっとくっついたかと大喜びされた。健十くんはめちゃくちゃからかわれて、その度に前髪を弄っていた。照れ隠し?
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祭りの翌日。
健十くんは今日東京へ帰る。空港へ見送りは、じじ達が空気を読んで、私一人だけだ。
わたしは色々ゆっくり準備や手続きをして、ひと月後に健十くんを追いかけることになった。
「1ヶ月、俺に会えないけど。大丈夫?」
健十くんがドヤ顔で聞いてきた。
「今まで、年1だったし、大丈夫!」
笑顔で答えると、健十くんが目に見えてがっくりしている。
あ、寂しがって欲しかったのかな…ごめん。
「東京に来たら、俺の部屋で一緒に暮らそう。毎晩、可愛がってあげるから、覚悟しておいて。」
耳元に囁かれ、かっと顔が熱くなった。
「俺との熱い夜、思い出しちゃった?」
意地悪な瞳で覗き込んでくる。
「もう、帰るっ!」
健十くんを睨んで、踵を返すと、後ろからハグされた。
丁度、搭乗の放送がかかって、周りが動き出した。
「ムキになっちゃって、かーわいい。愛してるよ。」
頬にキスをしたあと、颯爽とゲートに向かっていった。
いまのキスと、これからの生活と、昨日の余韻で、ずっとドキドキしていた。
健十くんを見つめていたら、こちらを振り返ってウインクしてくれた。健十くんらしいや。わたしは笑って手をふったのだった。
END