第13章 Capture!〈遠坂 雪音〉
剣城君が青白い光に攫われてから、フェイ君という人に連れられて此処までやってきたけど…浜辺ってどういう事なの?
「サッカーは必要だよ。そうでしょ?天馬」
「えっ…」
『天馬君!』
「ゆ、雪音⁉︎」
さっきの人だ!私と剣城君を狙った…何だか感情が無さそうな人。どうやら、話を聞いているとフェイ君は200年後の未来からやってきたみたい。
「雪音はどうして此処に?」
『私も彼らに襲われていたんですけど…フェイ君が助けてくれて。まっすぐ此処にきたんです』
「剣城は?」
『…残念ながら…皆さんと同じ様に…』
「そっか…じゃあ残ったのは俺と雪音だけなんだ」
『そうなりますね…』
「取り敢えず行くよ!二人とも!」
『は、はい!』
フェイ君がパチンと指を鳴らすと、人が一気に現れて、服もユニフォームになった。
『おぉ…』
「試合を開始する」
何時の間にか実況も現れて、一気に試合態勢になる。私はいつも通りFWの位置に付いた。
「大丈夫。頑張ろう!」
『はい!』
テンマーズという何とも言えないネーミングセンスのチーム。私達のチームだけどちょっとむず痒い様な…。
「雪音!宜しくね!」
『任せて下さい!』
こちら側のキックオフで始める。でも、彼らは有り得ないスピードだった。目が追いつかない。ボールもすぐに取られてしまう。
「大丈夫、目が慣れていないだけさ」
そうは言うけれども、敵のFWがゴール前に来てしまった。
「天空の支配者、鳳凰!アームド!」
え、アームド…?疑問に思いながら見ていると、化身を自身の身に纏っている。
「天馬も雪音も出来るよ」
『え…』
「そんな簡単に言われても…」
『や、やってみます!』
ホーリーロードの決勝戦で進化したらしい私の化身を広げた。進化した事で、アブストラクト型からコンクリート型へと変化した。
『寵愛の神、ヴィーナス!アームド!』
化身と一つになる事をイメージして自分に取り込んだ。自分の中の何かが弾ける感覚がして、目を静かに開いた。
『ん?んん?』
「何か…僕の見た事あるアームドとは違う様な…」
『こ、これアームドと呼んで良いのでしょうか…』
さっきの人の様な鎧感が無く、寧ろ防御が下がった様な気さえする。仕方ない、この力を信じるしかないんだ。
『い、行きます!』
「その程度で何を…っ⁉︎」
凄い…!明らかに速くなってる。