第9章 Amusement!〈栗花落 菖蒲〉
夕飯の時間になったので、太陽の部屋に向かった。ノックをするとすぐ様ドアを開けてきた。
「菖蒲!」
『静かに。客室なんだから』
「あっ…」
『夕飯の時間だし、そろそろ行かない?』
「うん!」
ホテルの夕食ってやっぱりちょっと緊張するんだよなぁ。旅館とかだと部屋に運ばれてくるけど、ホテルってマナーとか見られてる気がしてどうも落ち着かない。
「楽しみだなぁ!ご飯」
『此処はバイキングらしいから、沢山食べられるね、太陽』
「やった!」
丁度太陽なんて食べ盛りだからバイキングで丁度良いだろう。私はそんなに要らないけど。
「栗花落様と雨宮様ですね。こちらです」
『ありがとうございます』
バイキングを見ると、好きなものや野菜もある。最初はサラダを取りに行くのが妥当だろう。
『それじゃあ取りに行こうか』
「うん!」
『ちゃんと鍵持って歩きなよ?』
「はっ…!」
危なっかしいなぁと思いつつ、野菜を中心に取っていく。個人的にシーザードレッシングが好きなので、置いてくれているのが嬉しかったりする。後はおかずとか、ドリアも美味しそうだったから思わず取ってきてしまった。
「おかえり!うわっ…野菜多っ…!」
『美味しいよ、野菜』
「えー」
『好き嫌いは良くないよ』
「ちぇっ…」
と言いながら食事を口に運んでいく。もぐもぐと口を動かす姿がどうもハムスターに似ている。
『太陽、ついてる』
「え、何処?」
身を乗り出して太陽の口端についていたソースをナプキンで拭った。
「ありがと!」
『分かったから、落ち着いて食べなって…』
「うん!」
サラダの野菜をちょこちょこ口へ運ぶ。野菜食べてる方がご飯食べてるより落ち着くのはなんでなんだろう…。皆野菜を好き嫌いしがちだけど、ドレッシングかけて食べれば結構美味しいもんだと思うけど…。
『よし…デザート…』
「僕はもうちょっと取ってくるよ」
『うん、行ってらっしゃい』
デザートを取りに席を立つ。鍵も持って、デザートが置いてある所へ向かった。小さいグラスに入ったケーキにフルーツ。まさに聖地。
『よし、これとこれと…』
取り敢えず1種類ずつ取っていく。実は甘いものが大好きで、姉さんには良く馬鹿にされるけど、好きなものなんだから仕方ない。
「あ、菖蒲。デザート取ってきたんだ?」
『太陽も相変わらずいっぱい取ってきたんだね』