第8章 Departure!〈栗花落 菖蒲〉
「片付けまで手伝って頂いて、どうもありがとう。今日はとても楽しかったわ」
『そう思ってもらえて何よりです』
「是非、また機会があれば宜しくね」
『喜んで!』
先生にお辞儀をして、太陽がいる所へと戻った。もう着替え終わっていて、帰る準備も万端みたい。
「菖蒲、はい」
『荷物持っててくれたんだ。ありがとう』
「どういたしまして」
『初日から大成功だったね』
「うん!サッカー出来て楽しかった」
『教えるのも相当上手だったみたいだし』
「えっ?そう?」
『まぁね。それじゃあホテルに戻ろうか?』
「うん!」
時刻は5時半位だろうか。ここからホテルに着く頃には6時位にはなっているだろう。
『少しゆっくり歩く?』
「どうして?」
『折角、こうして来たんだったら風景位見て歩きたいじゃん』
「確かに!」
『じゃあのんびり行きますか』
「うん!」
大通りを歩いていると、部活帰りと思われる高校生や、仕事終わりのリーマンなど、沢山の人があるっている。結構活気のある街なんだな。
『そういえばさ』
「うん?」
『最終日の観光の予定、立てて無いでしょ?こうやって練習終わった後に、二人で予定決めてかない?』
「い、良いの?」
『何が?』
「いや、僕と一緒で良いのって…」
『だって太陽と一緒にきたんだし…。一緒に観光しちゃダメなの?』
「ううん!寧ろ結果オーライ!」
『なにそれ』
少し笑いながら綺麗な大通りを歩った。やっぱり好きだなぁ。来た事のない所に行くと、今までに無い発見が得られるから好き。
「どっちの部屋に集まる?」
『私が行くよ。お風呂上がったら行くから』
「なんかさ、そういうのドキドキするよね」
『あ〜、小学生の修学旅行の時とか、部屋の行き来はダメだったもんね』
「何か開放的な気分」
『実際は金払ってるんだから良いだろって思うけどね』
「確かに」
一応、予定を立てる為にノートとかも持ってきた。太陽が退院してから、お互いの時間が合わなくて上手く予定とか立てられなかったし。
『ホテル見えてきた。案外歩ってるとすぐだね』
「歩いてきたけど、やっぱり雰囲気違うよね」
『そうなんだよね。歩ってるうちは気付かないんだけど、到着すると雰囲気の違いに気付くっていうか』
「散歩楽しかったな〜」
名残惜しいと思いつつ、ホテルに着いてからは自分の部屋に戻って晩御飯の時を待つのであった。