第7章 Reduction!〈遠坂 雪音〉
無事退院して、やっと帝国学園に入学できることになった。最初は心配だったけど、菖蒲ちゃんの協力もあって、クラスには馴染むことが出来た。今日は帰りに雷門へ行く予定で、ずっと謝りたいと思っていた。今日、やっとそれが出来る。
「雪音」
『菖蒲ちゃん』
「今日、雷門に行くの?」
『はい。ちゃんと謝りたくて』
「そっか」
菖蒲ちゃんも応援してくれてると思うと、少しだけ頑張れそうな気がした。勉強は少し大変だけど、追いつけない事はない。
「掃除だよ。行こ」
『はい』
掃除が終われば、帰りのSHRがある。それが終わってから雷門へ向かう予定だ。
「雪音も大分慣れてきたね」
『皆さんが優しく接してくれたからですかね』
「まぁ、雪音なら大丈夫だよ」
隣を歩く菖蒲ちゃんは大分身長が伸びている。今の時期、女子は身長が伸びる時期なのかもしれない。私は相変わらず小学生のまま。これも薬の副作用だったのだろうか。
『菖蒲ちゃん、背が高くなりましたね』
「私は雪音位の身長がいい」
『交換したら丁度良いんですけどね…』
「本当だね」
菖蒲ちゃんはスレンダーで、帝国の制服が良く似合っている。だけど、私が着ると小学校の卒業式感が否めない。
「掃除終わったし、帰ろうか」
『はい』
帰りのSHRが終わって、急いで荷物を詰め込んだ。
「気を付けて行ってきてね。雪音」
『はい!菖蒲ちゃんも部活頑張って下さい!』
「ありがと」
鞄を持って、雷門中に向かって歩き出した。雷門中へはまずは電車に乗らなくては行けない。最寄り駅から電車に乗って、雷門中に一番近い河川敷駅で降りる。降りてからは真っ直ぐ西へ行く。すると、大きな稲妻のマークが付いている校舎が見えた。もう放課後の様で、賑やかな声が聞こえる。
『久しぶりですけど…全く変わってないです』
グラウンドを見ると、もうサッカー部の皆はウォーミングアップ始めているみたいだ。
「こんにちは、雪音ちゃん」
『あっ…葵さん!こんにちは』
「どうしたの?」
『あ、いえ…その…皆さんに伝えたい事というか…言いたい事がありまして…』
「そうなんだ!じゃあ皆を集めた方がいいよね」
『え、あっ…!あのっ…!』
「雪音ちゃん、こっち!」
『はいっ…⁉︎』
葵さんに手を引かれて、雷門中のグラウンドへ降りた。何だか凄い視線を感じるのは絶対に気のせいじゃない…!