第6章 Collapse!〈遠坂 雪音〉
「雪音ちゃん。暇だったらいつでも遊びに来てよ。俺もこの通り、暇だからさ」
『ありがとうございます』
「京介も、雪音ちゃんの事は良く話すから、一度話してみたいと思っていたんだ」
「兄さん…!」
「良いじゃないか。それじゃあ、そろそろ夕食の時間だね。京介、雪音ちゃんを病室まで送ってあげるんだぞ」
『だ、大丈夫ですよ…!剣城君も時間無いでしょうし…!』
「こういう時に送って帰るのが男だよ。雪音ちゃん」
『は、はい…?』
意味はよく分からなかったけど、お言葉に甘えて一緒に病室まで帰る事にした。
『すみません…わざわざついてきてもらって…』
「気にしなくて良い」
『すみません…』
「さっきからそれしか言ってないぞ」
『じゃ、じゃあえっと!学校は、最近どうですか?楽しいですか?』
「そうだな…楽しいかどうかは別にして、いつも騒がしい」
それは天馬君とかがいるからなんだろうか。きっと友達とかがいて、楽しい学校生活送ってるんだろうなぁ。
『私も早く中学校に行ってみたいです』
「あともう少しだな」
『はい!でも…今更友達出来るのかが心配で…』
「大丈夫だ」
そうだよね。自分から話しかけに行く気概を見せないと。
『退院したらすぐに雷門の方へ行きますから』
「ああ」
『あ、もう病室ですね。今日は二回も来て頂いてありがとうございます。気を付けて帰って下さいね』
「ああ、おやすみ」
『おやすみなさい』
剣城君を見送ってから、病室に入った。塗り絵セットを片付けてベッドに入った。そろそろ夏になるから、半袖も用意しておかないと。
「雪音ちゃん、夕食よ」
『ありがとうございます。冬花さん。太陽君は見つかりましたか?』
「ええ。また変な所に隠れていたわ」
『そうでしたか…。見つかって何よりです』
「ええ。また後で食器を取りに来るわ」
『はい』
早く学校に行きたいという気持ちと、友達ができるのかという不安がある。菖蒲ちゃんとは同じクラスの様で、少し安心した。けど、菖蒲ちゃんばかりという訳にはいかない。
『私も…変わらないと』
頬に力を入れてパンパンと叩く。今はもう、自由の身だ。やりたい事はまぁ…あんまりお金がかからない事ならできる。今の内にやりたい事を見つけて、将来の事を考えよう。何になりたいかとか、いっぱいいろんな事を経験して、早くヒロトさん達に恩返しをするんだ。