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Diva!【イナズマイレブンGO】

第46章 Graduation!〈遠坂 雪音〉


『これからも、よろしく』

目線を合わせないまま、グータッチを求めた。するとコツンと若干優しめにタッチしてくれたのがわかる。

「こちらこそ」
『大学が違くても、休日とか予定が合ったらデートしようね』
「ああ」
『えへへ、やったあ』

ふわりとウェーブのかかったポニーテールが揺れた気がした。結んであるところには思い出の赤いリボンがちょこんと乗っている。

『大学生になったら会える時間は減るけど…その分一回一回の時間をもっと大事にできるね』

ポジティブに考える事は大事だ。一回ネガティブに考えてしまうと負のスパイラルに陥りがちだから。

「そうだな」
『大学生になったらもっと今以上にできることがあるのかな。それとも変わらないかな』
「なってみないとわからないな」
『そうだね。先の心配しててもしょうがないか』

バタンと倒れて青空を見つめた。たまに桜の花弁が舞っていて、風情を感じる。

『ねぇ、京介も後ろに倒れたら?割と気持ちいいよ』
「いや、俺は大丈夫だ」
『そっか』

寝返りをうって、京介に近付いた。草木の匂いに混じってふんわりと京介の匂いがする。

「寝てていい」
『良いの?』
「ああ」

大きめの手が私の頭を撫でてくれている。どうしようもなく嬉しかった。自分の好きな温もりがこんなに近くにあるのが凄く嬉しい。

『おやすみ…』
「ああ」

目を閉じると、音がより鮮明に聞こえる気がした。風の音と子供達が遊ぶ声、水の流れる音。全部心地よかった。京介に出会えなかったら、こんな風に好きな人と日常を楽しむこともなかったのだろうか。何より、こんな風に思い出に浸ったりする事もなかったかもしれない。一歩間違えば有り得た未来なのがより一層恐ろしい。
しかし私はこの未来を自分で掴んだ。1人でいることではなく誰かと支え合う未来を選べた事がすごく嬉しい。これからもきっと大好きな人達と一緒にいると思う。どれだけ喧嘩しても、多分お互いを認め合ってまた寄り添うのだ。これで良かったと思える未来にしたい。

『1時間くらい経ったら、起こしてね』

伝え忘れたと言わんばかりに目を瞑ったまま要望を伝える。目を開かなくても、なんとなく彼がどんな表情をしているのか分かった。返事はないまま髪を撫でているので分かっているのか分かっていないのか、判別はつかないがそれでも良かった。それが私達の在り方だから。
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