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Diva!【イナズマイレブンGO】

第45章 Curse!〈栗花落 菖蒲〉


太陽の手を取って、立ち上がった。そうだ、帰らなくては。

『ねえ太陽、ちょっと荷物の運び出しを手伝って欲しいんだけど』
「勿論。何すれば良い?」
『この箪笥の中にある着物、全部運び出したいの』
「良いけど…どうして?」
『雛菊さんに貰ったの。このまま朽ちていくくらいなら、私に貰って欲しいって』
「そっか。分かったよ。菖蒲の荷物は?」
『私の荷物はまだ纏められてないから、終わってから着物の持ち出し手伝う!』
「はーい」

自分の部屋に案内して、箪笥から着物を一旦全部出してもらうようにした。私はスーツケースに自分の衣類などを詰め込む。

『よし、じゃあ私の荷物、車に運んでくるね』
「持つよ」
『ううん。大丈夫。お父さんに事情も話してくるから』

外された玄関の扉から出て、門の前に停まっているお父さんの車に近付いた。

『お父さん!』
「菖蒲!遅いから何かあったのかと…今探しに行こうと思ってたんだ」
『大丈夫。さっき全部終わったの。もう帰れる』
「そうか…本当にもう大丈夫なんだな?」
『勿論。今太陽に着物運び出してもらってるんだ』
「着物?」
『貰ったの。どうせなら全部もらってくれって』
「そうか。その荷物はお父さんが運び入れておこう。太陽君を手伝ってあげなさい」
『うん』

スーツケースをお父さんに任せて屋敷の中に戻った。着物の数は5着ほど。舞の衣装を含めれば6着。これからは普段着で着れるように着付けもお母さんに教えてもらうつもりだ。

『太陽』
「おかえり、5着あったんだけど、これで全部?」
『うん。後舞の衣装もね。3着ずつ持っていこう』
「任せて」

帯なども纏めて持っていく事にした。その方が良いと思ったから。

『あとは玄関、元に戻さなきゃね』
「うん。菖蒲は下がってて、多分治せるから」

太陽の言う通りに数歩下がって見守った。上に差し入れた後、下の方も嵌め込んで元通りだった。

『うん。大丈夫』
「帰ろう、ね。菖蒲」
『うん、帰ろう』

父の車に乗り込んで、発車する。もう、恐らく此処に来ることはないだろうとなんとなく思った。

「2週間もよく頑張ったな」
『結構楽しかったよ。1人じゃなかったし』
「えっ?誰といたんだ?」
『雛菊さんって人。お父さんと太陽には見えないと思うけど』

そう言うと車の中の温度が下がったような気がしたのは、多分気のせいなんだろう。
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