第4章 Prop!〈遠坂 雪音〉
『だから…絶対に革命を成し遂げて下さい』
「監督、此奴は俺の何倍も凄い…。必ず力になってくれます」
「剣城の何倍も?」
『ゴッドエデン時代は…グランドランクシードとしてファーストランクシードの方を強化する役割をしていました。ですので、皆さんのお力にもなれると思います』
「なるほどな…」
『化身も…一応出せますよ。ただ皆さんとは少し違いますけど』
「少し違う…?」
『皆さんの化身がコンクリート型で、私のはどうやらアブストラクト型と言うそうです』
「具体と抽象…という訳か…」
『はい』
「ま、聞くよりはやってみた方が早いだろ」
円堂監督と言われた人がいきなり立ち上がった。
「まずは天馬、行ってみろ」
「は、はい!」
『天を駆ける者!エール!』
「魔人ペガサスアーク!」
皆驚いている。皆恐らくコンクリート型しか見た事が無かったからなんだろう。
『いきますっ…!』
いつもの通りに、ボールを奪ってゴールを決める。この人は…ピンチには強いけど…脆い。
『いちいち驚いていちゃ駄目です。貴方がキャプテンなら…動じては駄目です。そして…プレーにも何処か迷いがありますね』
「⁉︎」
『私には何とも言えないですけど…迷いを…逆に力にしてみて下さい。貴方にはそれが出来るはずですから』
「あ、ありがとう…」
時間ギリギリまで皆の弱点を見極めた。革命を成し遂げてもらわなければならない。その為なら、私の身体がどうなってもいい。
『はぁ…はぁ…』
「雪音…!」
『狩屋君…大丈夫です…。もう、そろそろ戻らないと…』
「そんなボロボロで…」
『良いんです…。いつも…此れよりもっと酷いですから』
「…!」
『それと…今日会った事は、ヒロトさんや瑠璃さんには秘密にしておいて下さい。絶対に…言わないで』
「ああ、もう!分かったよ!」
『今日は…もう時間なので…帰ります』
「送って行く」
『剣城君…』
確かに、私の身体も限界を迎え始めている。素直にお世話になった方が良さそうだ。
『すみません…お願いします』
「ああ」
『皆さんの役に…立てたでしょうか』
「ああ、十分な」
『良かったです…』
「必ず…革命は成功させる」
『剣城君。恐らく、私達は対峙します。しかも、私がプログラミングで暴走した状態で』
「暴走…?」
『だから…その時は、全力で止めて下さい。何があっても』
私が…壊れても。