第23章 Relaxation!〈遠坂 雪音〉
瑠璃さんとヒロトさんが尽力してくれたお陰で、私は北大路から元の遠坂に戻った。そのままお日さま園に迎え入れられる筈だったが、部屋が足りないという事で、そのまま木枯らし荘に住む事になった。
『うーん…これかな…?どっちが良いんだろ…』
明日は、例の剣城と出掛ける予定である。それでこんなに悩んでいる訳だが。
『…ん?』
待てよ。剣城となら、こんなに悩む必要は無いのでは?い、いや違う。下手な格好をする訳にいかないから悩んでいるだけだ。別に彼奴の為、とかそういう訳じゃ無い。変な格好をしたら笑われかねない。それだけだ。
「雪音ー!ご飯だよ!ってあれ、もしかして…明日が剣城とのデート?」
『はぁ⁉︎違う違う!彼奴とデートとか、そういう訳じゃ無いから!』
「照れなくても良いのに」
『照れてない!』
「まぁまぁ。もうご飯だって!」
やばい…!今日お手伝いするの忘れてた!なんで服でこんな悩んでたんだろ…。
「大分集中してたみたいね」
『すみません…。今日忘れちゃってて…』
「良いのよ。また今度手伝ってくれれば、それで良いわ」
そんな調子でご飯を食べた。ここ最近は毎日剣城と顔を合わせている。というのも、天馬と一緒に学校に行くのだが、天馬は元々剣城と一緒に学校に行くから付いてくるし…。良い加減天馬と出るのを止めようかなと思うが、天馬のしょんぼりする顔は見たく無いので、渋々一緒にいる。
『ご馳走様でした』
「ご馳走様!」
『お皿洗い、しますね』
「ありがとう。助かるわ」
「じゃあ俺が食器拭くよ!」
『あんがと』
食器洗いも終えて、もう一度部屋に戻る。早めにお風呂に入ってしまおう。男性の時間になる前に入らなければ。
「あれ?服決めないの?」
『う、煩いなぁ!先にお風呂入る!』
天馬の茶化しにふんすかとした雰囲気で返し、お風呂に入ってきた。
『うーん…これにするか!』
結局凄く唸った結果、セパレート見えるツイード生地のミニ丈ワンピース。靴はまだ開けてそんなに履いていないオックスフォードシューズ。靴紐がリボンの様で可愛い。髪は…どうしようかな。あぁ…そういえば…。
『このリボン。彼奴から貰ったんだっけ』
当の私は全く覚えていない訳だけど。彼奴は…これを付けて行った方が喜ぶのだろうか。いや、別に彼奴の事なんかどうでもいいんだけど…。
『ミックス巻きでこれ付けるか』