第22章 Flower!〈栗花落 菖蒲〉
今日は太陽の家に泊まりに行く日だった。なんか…緊張するな…。太陽が迎えに来てくれるらしいので、待っているんだけど…。
「菖蒲、凄い緊張してるじゃん」
『い、いやだってさ…』
「リラックスリラックス!太陽君だって、そんなガチガチな菖蒲は期待してないぞ!」
それは分かっているのだ。でも、緊張はやっぱりしてしまうもので。
ピンポーン
「ほら、太陽君じゃない?」
『うぅっ…』
姉は丁度私の髪のヘアアレンジを終えたらしく、いってらっしゃいと背中を押してくれた。
「おはよう、菖蒲」
『お、おはよう…』
今日はサイドを編み込みしてカチューシャ風にし、服装はロングワンピース。イエローグリーンを基調とした英国女子風のものに、リボンとベルトは濃い緑の物。
「雨宮 太陽君ね」
「はい」
「今日と明日、菖蒲の事をお願いね」
「はい。心配かと思いますが、絶対に悲しませる事はしません」
「大丈夫よ。雨宮君がそんな事するとは思ってないから!菖蒲も信頼してるみたいだし〜楽しんできてね〜」
またお母さんの周りに花が舞ってる…。
「はい」
『行ってきます』
「は〜い!行ってらっしゃ〜い」
大きめのリュックを背負って太陽の家へ歩き出した。太陽の家には中学の時一回泊まったきりで、それ以降は全く行っていない。
「菖蒲のお母さん、凄いゆるふわだね」
『蓮華にそっくりでしょ?』
「確かに…瓜二つ!」
『私は…そうだなぁ…顔はお父さんに似てるけど、性格はお爺ちゃんに似てるらしいよ』
「そうなんだ。菖蒲のお爺ちゃんってもしかしてしっかり者?」
『うん、そうだよ。何かこう…きちっとしてるって言えば良いのかな?』
「確かに、そうかも」
まぁ、これはこれでツッコミのバランス取れてるし、良いんじゃないかなとは思う。
「で、今日は何する?」
『親には一応勉強はしてくるって言っちゃったからね』
「菖蒲らしい」
『そんな事もあるから。私を選んだからには諦めて下さーい』
「最近、菖蒲は蓮華ちゃん混ざって来てるよね」
『えっ…そう?』
「でも、どんな菖蒲も僕は大好きだよ」
『お前さては阿呆だな』
「いきなり仙人にならないで⁉︎」
そんな感じで笑いながらも、太陽の家へ向かっていく。
「そういえば、菖蒲。今日の服凄く可愛いね」
『ありがとう。これ蓮華と一緒に買いに行ったの』
「可愛いよ」